日もとっぷりと暮れた7時半。

同宿の何人かと一緒に「コールドリバー・ゲストハウス」を後にした。

プーシーの丘を迂回するように大きく弧を描く真っ暗な夜道を、ぞろぞろ歩いていく。カーン川を渡り、町でいちばん大きいシーサワンウォン通りまであとわずかという坂道の途中で、みないっせいに声にならない驚きの声を上げた。この時間にはすでにひっそりと静まりかえっているはずのシーサワンウォン通りから、きらびやかな光と華やかな歓声があふれるように漏れてきたからである。急いで坂道を登り切る。通りには、人の列が途切れることなくどこまでも続いている。その人の波間を、ほのかな炎に照らされた巨大な船や竜が見え隠れしながら漂っている。沿道にも数え切れない人、人。お祭りとは聞いていたけれど、まさかこんなにも盛大なものだとは。

ゆらめく光。包み込むざわめき。
爆竹がそこかしこでパン、パンと大きく鳴り響く。
湧き上がる歓声。

ゆるゆるとした空気が漂っていたルアンパバーン。そこで暮らす穏やかな人々。そんな町と人が、いまは熱気と興奮のただ中にある。まるでこの時が来るのを待ちかねていたかのように。

最初はあっけにとられてこの様を眺めていたぼくたちだったが、熱気と喧噪にあおられて、気がつけば、人波のうねりに身を任せていた。