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世界最古の摩天楼都市と形容されるイエメンの首都サナア。
お菓子のような高層建物がそそり立ち、その隙間を縫うように路地が張り巡らされ、市場が迷路のように続き、ジャンビーアをお腹に差した男たちや、黒いベールをまとった女たちが行き交う。
そのサナアから道を下れば、アラビア半島の南の果て。
海のシルクロードの拠点として、時代を下ってはコーヒーの
積み出し地として名をとどろかせた港が、今はただ静かに眠る。
ちょうど一年前に訪れたモロッコとポルトガルのように、
かつて栄華を誇り、今は忘れられつつある最果ての地には、
深い哀愁の空気と旋律が漂っているのではないだろうか。
最古の摩天楼から、一路南へ、哀切の港町へ。
そんなルートを思い描きながら、古き良き彼の地に降り立った。
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