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朝早いためか、観光客はほとんどいない。猫がのんびりひなたぼっこしている。その姿を横目に、さっそく内部に入ってみる。

台所やら倉庫やら井戸やらいろいろ見ながら階段を上っていく。いったいここは何階なのだろう。ある狭い部屋に入った。モノトーンで満たされた薄暗い室内で、カラフルな光が目をとらえた。カマリヤと呼ばれる、ステンドグラスをちりばめた伝統的な半月型の窓が、朝陽を受けて目の覚めるような輝きを帯びている。その赤、青、緑などの輝きは、暗い中空を通って石の床に投影され、色鮮やかな半月を描いてみせている。

ふと窓の向こうに目をやると、そこにはひたすら荒々しい岩山。厳然たる自然の世界がそこにあった。幻想美と厳粛美。その強いコントラスト。

厳しい自然に囲まれているからこそ、このパレスに幻想と甘美の空間を作り上げようとしたのかもしれない。
ジャンビーアの舞い: 3/15