空港の外に出ると、強烈な太陽の光が目に飛び込んできた。バンコクよりさらに厳しく、文字通り刺すような陽射しだ。南の島に来たのだという実感がふつふつと湧いてきたが、そんな感慨も、この強力な太陽光線に照らされてあっというまに蒸発してしまいそうだ。
待つこと数分、空港のカウンターで頼んだタクシーがようやくやってきた。すぐにドアを開けると、太陽から逃れるように素早く後部シートに飛び込んだ。目的地は当然、芸能の村ウブドだ。
ウブドで最初に泊まろうと思ったのは、「グリーンフィールド」というホテルだった。ウブドのはずれに位置しており、静かに過ごせそうだと思い、候補に挙げておいたのだった。タクシーは1時間ほどでウブドに到着。グリーンフィールドホテルの前で降りた。空には、いつのまにか黒っぽい雲がモクモクと立ちこめていた。天気が悪くなったのは、内陸部に入ったからなのだろうか。
物腰の柔らかいフロントの女性に案内されて部屋を見せてもらうが、あいにく見晴らしが良い部屋は空いていなかった。他のホテルを当たってみようとも考えたが、ひどい疲労を感じていたため、そんな気力は沸いてこない。それに、とうとう雨が降り出した。とりあえず、今日と明日はここに泊まることにしよう。フロントの女性にそのように告げてチェックインの手続きをとった。 |