走ってきた道を引き返し、ソン川にかかる吊り橋まで戻ってきたときには、あたりはすっかり夕景に包まれていた。落日は近い。昨日はこの橋のたもとで夕日を眺めたので、今日はちょっと上流にあるもっと細い橋に行ってみることにした。自転車を店に返すと、早足で橋へと向かった。

急な坂を下ると、川縁にたどり着いた。人がやっとすれ違えるほどの細い木の橋が二本、V字型に延びている。その橋から、子供たちがダイブしては、元気よく泳いでいく。川の真ん中では、タイヤのチューブに体を預けた旅行者が、橋の下をくぐってどんぶらこと流されていく。

二本の橋のうち、右側の中州へと渡されている橋には見覚えがあった。が、対岸へと延びる橋、この長い橋はたしか昨日は存在しなかったはずだ。日没後にここに来たので暗くて見落としたのだろうか。そんなことはない。その証拠に、何人かの男が橋の上で工事作業をしているではないか。

おそらく、水かさが増す雨期の間は危険を理由にはずされていたのだろう。雨安居明けを祝うオークパンサーが過ぎ、水量が減った今日このとき、再び向こう岸へと渡されたのではないか。簡素とはいえ、たった1日でこれだけの橋が完成してしまうものなのか、にわかには信じがたいけれど、それも恒例工事ならではの手際の良さと考えられる。見落としでなければ、きっとそうだ。

雨期の終わりを告げる行事を、ここでも偶然目にすることができた。この季節に訪れることができた幸運を、またひとつ見つけることができたようだ。今日もバンビエンに滞在して、やっぱり正解だったのだ。