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展望台は、メディナの西の端から突き出ていた。階段を上り、その上に立った。波打ち際にそびえ立つ城壁と、その内部にひしめき合う白壁の家々。アシラのメディナを見渡すことができた。
アシラを訪れたもうひとつの理由は、エッサウィラ同様、ここがポルトガルゆかりの街であることであった。アシラ自体の歴史はとても古く、遠くカルタゴやローマの時代まで遡ることができるが、現在見られるメディナの原型ができたのは、15〜16世紀のこと。この地を支配したポルトガルによって街を囲む城壁が築かれた。
こうして眺めてみると、同じくポルトガル時代の城壁をいまに残すエッサウィラと、外観や構造が驚くほどよく似ていた。ミニエッサウィラと名付けてもいいくらい。しかし、ここアシラは、エッサウィラに比べれば規模が小さく、いまの時期は訪れる者も少なく、土産物屋が軒を連ねることもない。厚い雲の下でひっそりとたたずんでいる。
海のほうに視線を移してみる。はるか沖合の上空に、青空の帯を発見できた。その青空から射し込む光のきらめきが、海面を伝わって、少しずつではあるが、確実に、こちらに迫ってくる。もうすぐこのメディナにもあのまばゆい光が射し込んできそうだ。
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Asilah: 4/15  |
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