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降り立った乗客を待っていたオンボロバスに乗り込んで、街の中心部に到着した。歩いて数分のところにある、清潔で居心地のよさそうなホテルで旅装を解いた。洗濯をすませ、さて出かけるか、というときになって、まるで見計らったように雨がぱらつきはじめた。心配が現実のものとなってきた。
海に沿って歩いていくと、メディナの入口近くに、何軒かの雰囲気のよいレストランが並んでいた。雨宿りがてら、そのなかの一軒に入った。シーフードの昼食を取る。たっぷり時間をかけたつもりだったが、レストランを出てみると、まだ雨はやんでいない。このまま待っていてもしょうがないので、メディナを歩いてみることにした。
エッサウィラもそうだが、アシラもリゾートタウンとしての顔だけでなく、芸術の町としても知られている。毎年夏には芸術祭が催され、メディナの白壁をキャンバスにみたてて、さまざまな絵が描かれるという。アシラを訪れようと思った理由のひとつが、そうした絵で彩られた白壁を見ることであった。が、やはりこういう絵は照りつける太陽の下で見てみたい、というのが歩いてみての正直な感想だった。
しばらく路地を歩き回っているうちに、ようやく雨があがった。これまでの街でそうであったように、午後になり、そろそろ青空が広がる時間になったのかもしれない。どこか見晴らしのいい場所で、それを確かめてみたい。ひとまず路地歩きは中断し、海とメディナを一望できるという展望台へと足を向けた。
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Asilah: 3/15  |
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