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抜けるような青空に、たくさんのカモメが舞っている。
そして白い街。やはりここはモロッコなのだ。
それにしても……。
なぜ再び、この最果ての国に来てしまったのか。
ぼくを日の沈む国へと駆り立てたもの。
恥ずかしげもなく言うならば、それは「哀愁」。
その源泉となったのは、一昨年、昨年と二年続けて訪れたマカオだった。
香港の「ついで」に訪れたマカオ。ところが、実際に彼の地を歩いてみると、息苦しい香港よりも、不思議に懐かく哀しい雰囲気が気に入ってしまった。カトリック教会やパステル調の家並みから、大砲が並ぶモンテの砦、そこから眺めた海、アズレージョ、食事に至るまで、ありし日のポルトガルの栄光を随所にしのばせ、そのどれもが、淡い哀愁の情感を呼び起こさせるものだった。よくわからないけれど、これがいわゆるサウダーデと言われているものなのだろうか。もしそうなら、ぜひ本場のサウダーデにも触れてみたい。それが最初のきっかけだった。
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