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            抜けるような青空に、たくさんのカモメが舞っている。 
            そして白い街。やはりここはモロッコなのだ。 
            それにしても……。 
             
             
            なぜ再び、この最果ての国に来てしまったのか。 
            ぼくを日の沈む国へと駆り立てたもの。 
            恥ずかしげもなく言うならば、それは「哀愁」。 
            その源泉となったのは、一昨年、昨年と二年続けて訪れたマカオだった。 
             
            香港の「ついで」に訪れたマカオ。ところが、実際に彼の地を歩いてみると、息苦しい香港よりも、不思議に懐かく哀しい雰囲気が気に入ってしまった。カトリック教会やパステル調の家並みから、大砲が並ぶモンテの砦、そこから眺めた海、アズレージョ、食事に至るまで、ありし日のポルトガルの栄光を随所にしのばせ、そのどれもが、淡い哀愁の情感を呼び起こさせるものだった。よくわからないけれど、これがいわゆるサウダーデと言われているものなのだろうか。もしそうなら、ぜひ本場のサウダーデにも触れてみたい。それが最初のきっかけだった。 
             
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            5/17           | 
           
        
       
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