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一休みしたのち宿を出たときには、午後5時半を回っていた。が、早春の太陽はまだまだ沈みそうにない。

ファーロの街は、思っていたよりこぢんまりとしている。そのうえ、眠っているようにひっそりとしている。
「なんだか活気に乏しいなあ。街も古びているし」
第一印象はそんな感じ。

バカンスシーズンにはリゾートタウンと化すと聞いていたが、3月末という春まだ浅い季節の街からは、そんな賑わいのかけらも感じられない。その落差が、いまこうして濃い憂いの雰囲気を生み出しているのかもしれない。同じような憂愁の空気は、モロッコでも味わった。アシラという街を訪れたときだった。アシラも夏場はたいそう賑わうようなのだが、ぼくが訪れた1週間ほど前は、白いメディナ全体が眠りに落ちているかのように静かだった。が、考えてみれば、アシラはポルトガルの影響が強い街だから、ここと同じような空気が漂っていてもおかしくはないのかもしれない。
Faro: 4/11