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新市街を一通り歩いたので、次はいよいよ旧市街の門をくぐってみる。

辺りはいっそうの静寂に包まれている。地元の人間はどこに行っちゃったのっていうくらい、人の気配が感じられない。たまに、観光客らしき欧米人や地元のおばさんが通り過ぎていくくらい。白い壁と青い空だけが、存在感を主張している。

こうした季節はずれのリゾートの雰囲気は、だが嫌いではない。夏の間、人々が残していった享楽の抜け殻が、通りのあちこちにゆらゆらと漂っている感じが、とてもいい。あるいはそれは、かつて大航海時代に誇っていた栄華の残滓なのかもしれない。いずれにせよ、そうした夢の跡に思いをいたしながらさまようのが、ポルトガルでは様になる気がするし、こうしてポルトガルまで足を延ばしたのも、そんな彷徨いの感覚を堪能できるのではと期待してのことだった。
Faro: 6/11