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サレとラバトを結ぶ橋を渡り終えると、ひときわ高いミナレットが左側に迫ってきた。ハッサンの塔と呼ばれるそのミナレットの近くでタクシーを降りた。塔は小高い丘の上にそびえ、そのすそ野は整備された庭園になっている。その庭園を横切るように階段を上っていった。
急に雲が切れ、晴れ間が広がってきた。青く澄んだ空。頭も視界も、急にクリアになった気分。
振り返ると、さっきまでさまよっていたサレのメディナが、いまやはっきりと見渡せた。その中央には、ひときわ高く突き出ているモスク……もしかして、あれがグランモスク? そうに違いない。なんだ、やっぱりあるじゃないか、グランモスク。
遠くからなら一目でそれとわかるのに、いざ近づくと、いろいろなものに惑わされてたどり着けない……。
やっぱりこれが人生なのだ。
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Rabat: 9/12  |
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