結局、ホテルを出たときには午後3時を回っていた。コルドバと比べてセビリアは街の規模が大きく、見所も散らばっている。急ぎ足なら回れないこともないが、それは僕の性に合わない。カテドラル周辺を集中的に歩くことに決めた。
スペイン最大規模を誇るカテドラル。そのカテドラルで最も目立つのが、セビリアのシンボルであるヒラルダの塔だ。12世紀にモロッコに興ったワッヒド朝によって建築されたミナレットである。マラケシュのクトゥビア、ラバトのハサンの塔と並んで、ムワッヒド朝の三大ミナレットと呼ばれている。もっとも、ヒラルダの塔はのちに教会の一部となった。今回の旅ではハサンの塔には行けなかったが、3週間ほど前に訪れたマラケシュのクトゥビアと比較してみると、形状が驚くほど相似していることがわかる。
ヒラルダの塔には観光客も登ることができる。カテドラル内部を見学後、高さ70メートルを超えるこの塔に登ってみることにした。内壁に沿って折れ曲がる階段をどこまでもぐるぐる上る。もういい加減にしてくれよ、と音を上げかけたところで、ようやく頂上に到着した。
切れかかった息を整えつつ、セビリアの市街を見渡した。スペイン第四の都市らしく、古い家並みの周囲には近代的な建物も目につく。天井を見上げると、巨大な鐘がぶら下がっている。ここがイスラムではなくカトリックの国であることを物語っていた。 |

これはマラケシュのクトゥビア |