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荒涼たる砂漠、壮大な遺跡、迷路のような旧市街、響き渡るアザーン……。そんなイスラム世界独特の魅惑的な光景と喧噪の中に、またどっぷりと浸ってみたい。
昨年の「ヨルダン、シリア、レバノンの旅」以来、こうした想いが頭から離れなくなっていた僕は、「今年もイスラム地域に行こう」と決めた。そのとき真っ先に心に浮かんだ「彼の地」が、モロッコとアンダルシア地方だった。モロッコには砂漠と迷宮都市フェスがあるし、アンダルシアにはアルハンブラ宮殿やメスキータがある。イスラムの文化と空気に浸るのに、まさにうってつけの組み合わせではないか、と。
「砂漠で星空を眺めたい」、「フェスで迷子になりたい」、「アルハンブラで思いを馳せたい」。期待が膨らんでいく。一方、「モロッコの旅には覚悟が必要」という友人の脅しに不安もまた増していく。さらに出発直前には、カサブランカで自爆テロが発生……。期待、興奮、不安、恐れ、さまざまな思いが交錯する中、出発の日を迎えた。 |
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