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   アンダルシア 3.  いにしえの都  ―  コルドバ
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ずいぶんと閑散とした町に来たものだ。

ポトロ広場の近くでバスを降りた僕は、人影がまばらにしか見あたらない通りを歩きながら、コルドバの町に対して、そんな第一印象を抱いた。

コルドバといえば、かつてイスラム王朝が栄華を誇ったいにしえの都。グラナダと肩を並べる観光都市とばかり思っていた。だが、実際に訪れてみると、あっけにとられてしまった。不気味にも思えるほど静まり返っていたからである。たたずまいも、落ち着いているというか、想像以上に渋い。いぶし銀のようだとも形容できるが、単に寂れ果て、過去の栄光を引きずって生き延びているだけといった印象のほうが強い。けれども、そのうら寂しさが、いにしえの都にふさわしいノスタルジアを醸し出しているようにも思われた。

お目当ての宿にチェックインし、部屋に荷物を置くと、さっそくメスキータを見に出かけることにした。

10分ほど歩くと、高い外壁に突き当たった。外壁を取り囲むように、お土産屋やホテル、レストランが並んでいる。しかし、観光客でごった返しているという雰囲気ではない。1周してみると、ひときわ高い塔が目に飛び込んできた。ふもとの入口をくぐって、中に入る。
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