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コルドバの歴史は古く、起源は前2世紀にさかのぼるが、最盛期を迎えるのはイスラム期に入ってからのことだ。
ダマスカスに都を置いたウマイヤ朝がアッバース朝に滅ぼされると、ひとりの男が、追っ手の目をかいくぐってイベリア半島に逃れた。そのウマイヤ家の生き残り
―アブド・アッラフマーン1世― は、このコルドバの地を都に定め、イスラム王朝を打ち立てた。756年のことだ。これが後ウマイヤ朝で、イベリア半島における最長のイスラム王朝となった。メスキータは、そのアブド・アッラフマーン1世の命によって建造された。
昨年のシリアの旅でウマイヤ朝時代のウマイヤドモスクを見学した僕にとって、今回、その後継である後ウマイヤ朝のメスキータを見学することは、偶然とはいえ、こうした時代の流れを肌で感じ取れる絶好の機会といえた。
薄暗い内部には馬蹄形のアーチが何列にも並んでいる。
「円柱の森」と呼ばれているとおり、歩き回っていると方向感覚を失いそうになる。
中央には、後世に増築されたカトリックの礼拝堂が天に届けとばかりにそびえ立っている。絢爛豪華という形容詞がぴったりの礼拝堂だが、それがかえって鼻についてしまう。ローマ教会と神聖ローマ帝国の権威が表に出過ぎているのだ。どうもこのゴテゴテ感は好きになれなかった。
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