■ モロッコ&アンダルシア   HOME  > TRAVELS > MOROCCO & ANDALUSIA >
   7.  聖者の町  ―  ムーレイイドリース
1 2 3 4 5

ボリュビリスを見学し終えると、再びグランタクシーに乗り込んだ。先ほど走った道を少し戻ると、左手の坂道へ折れた。ボリュビリスから見えた白い街の方に向かっているようだ。しばらく坂を上ると、街のふもとで止まった。ムーレイイドリースに到着したらしい。

目の前には、小さい市場があった。その市場を抜け、さらに坂道を上っていく。どこからか年輩の男が近づいてきた。町の案内を始める。その態度はきわめてさりげない。たぶん、ガイドだろう。が、ここは聖者の町。町自慢好きなただの親切なおじさんかもしれない。断るきっかけがつかめずにいた。振り切るのも面倒だし、どうせ短時間しか滞在できないのだから、彼に着いていく方が効率的に見て回れるかもしれない。最後に彼がどんな態度を取るか、確かめてみたい気もあった。顛末は目に見えてはいるけれど。

彼が最初に連れて行ってくれたところは、ムーレイイドリース廟だった。イドリース朝の創始者イドリース1世が眠っているとされる霊廟だ。

他のモスクや廟と同様、ここも異教徒は立ち入り禁止。いつも通り、入口で写真を撮ることしかできなかった。入れないのは仕方がないが、どうも欲求不満が残る。