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   7.  聖者の町  ―  ムーレイイドリース
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丘を下りきった。さて。
「ありがとう。じゃあね」
「待て、俺はガイドなんだ」
市井の気のいいおじさんから変貌した商人の姿がそこにあった。やっぱり……・。

いくらかのお金を彼に払うと、待たせていたグランタクシーに乗り込み、メクネスへ。日暮れまで時間がある。メクネスの見所を回れるだけ回ってみることにした。

旧市街で降ろしてもらったのは、ちょうど有名なマンスール門の前だった。精密な幾何学模様が美しい。




マンスール門の脇を抜けると、メクネスの王都。
まずは、ムーレイイスマイール廟に入った。
モロッコの現王朝であるアラウィー朝の二代目、ムーレイイスマイールの霊廟である。

この廟には異教徒も入ることができる。理由はよく分からない。この王、モロッコ人にはあまり尊敬されていないのだろうか。あるいは、現王朝の礎を築いた軍事的英雄なのだから、特別に異教徒にも拝ませてやろうという計らいなのか。

廟の内部は豪華ではあったが、最も印象に残ったのは、パティオを取り囲んでいる黄色い壁と、床の模様だった。

突然、パティオが暗くなった。続いて、強い風。見上げれば、どす黒い雲が上空を覆っている。ひと降りきそうな気配だ。
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