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アフリカ大陸の北西端に位置するモロッコは、アルジェリア、チュニジアとともにアラビア語で「マグレブ」(日が没する地)と呼ばれている。エジプト以東のアラブ諸国の総称である「マシュリク」(日が昇る地)と対をなす呼び名である。
昨年、そのマシュリクの一地域を訪れた僕は、マグレブと呼ばれる地にも興味を引かれていった。同じイスラムではあるが、両地域の間には何か大きな違いがあるのかもしれない。
そんな素朴な疑問を持ったことも、今回、最終的にモロッコ行きを決めた理由のひとつだった。
5月27日。いよいよ出発の日。成田空港の待合いロビーで搭乗を待つ。期待もあるが、どちらかといえば不安の方が大きかった。モロッコ行きを決めてからというもの、「うざい自称ガイドや物売りに悩まされた」といった体験談を、イヤというほど読んだり聞いたりしてきたからだ。悪名高い彼らの波状攻撃を上手くかわすことができるだろうか?
さらには、先日起きたカサブランカでの自爆テロも大きな心配の種だった。現地の治安は果たしてどうなっているのだろうか?
突然、港内にアナウンスが響き渡った。なんと、搭乗するアムステルダム便が、副操縦士の急病のためにディレイになるという。日本を発つ前からトラブル発生とは。まるで前途多難を暗示しているかのようだ。不安は高まるばかりだった。 |
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