日暮れが近づいたので、メディナ探訪は終わりにして、港に行ってみた。
スースは、この青い海の彼方にあるシチリアとの関係が深い町でもある。ポエニ戦争の時代はもちろんだが、9世紀にはアグラブ朝がスースを拠点にしてシチリア征服を果たした。イスラム文化をヨーロッパへもたらしたのが、このアグラブ朝である。反対に、12世紀にはシチリアから襲来したノルマン人に占領されたこともあった。そんな攻防の時代に使われていたような木造船が、数隻繋がれていた。
予想通りの観光都市で多少がっかりしたけれど、二日後にシチリアに渡る身としては、シチリアと関連の深いこの要塞都市を訪れた意味はあったのかもしれない。
こうして地中海を眺めているうちに、その向こうに横たわるシチリアに早く渡りたくなってきた。しかし、その前に、チュニジアで訪れるべき場所がまだふたつ残っている。ひとつはドゥッガ、もうひとつは有名なカルタゴ。チュニジアを発つのはあさっての深夜。なんのトラブルもなくどちらも訪れることができればよいのだけれど……。 |
