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目が覚めた。まだ早朝の6時だ。ベッドから起きあがり、窓から顔を出す。最上階の部屋。見晴らしはなかなかのものだ。空を見上げれば、気持ちのいい青一色。右側のタハリール広場方面を見下ろせば、人と車が行き交う。左側に目を転じれば、旧市街が朝の白い光を静かに受けて目を覚まそうとしている。
結局、昨日ぼくを案内してくれた旅行代理店の男は本当に親切なやつだったのだ。サルタをおごってくれ、旧市街を案内してくれたうえ、ツアーに参加する気がないと知ってもとくにいやな顔もせず、最後には日本語が打てるネットカフェにまで連れていってくれたのだ。
頭上に広がる青。まばゆい家並み。通りの喧噪を乗せて吹き込んでくる風。昨日の胸のつかえがみるみる溶けていくようだ。
宿を出た。旧市街へと足を向ける。日差しは強いが、曇りよりはるかにましだ。空気が乾いているから、汗だってほとんど出てこない。
新市街と旧市街をつなぐ石橋を渡る。
朝の光を受ける摩天楼。茶色い壁に、漆喰の白い模様がひときわまぶしい。遠くには、青空にそびえるミナレット。昨日の午後とは、まるで違う表情を見せている。目の前の路地を奥へと入り込んでいく。
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Sanaa: 4/22  |
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