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サナア3日目となる金曜日。この日は車をチャーターしてサナア郊外の村を訪ねて回ることにした。ワディダハル→スーラ→コーカバン→シバーム→サナアというコース。マナハ→ハジャラと並んで、サナアからの日帰りツアーとしてはごく一般的なコースである。

朝7時。ツアーを申し込んだ代理店のマーシさんと、彼の日本語の先生であるハーディさんが、宿の前でぼくをピックアップしてくれる。思えば、このマーシさんとの出会いも偶然だった。昨日、サナア旧市街をぶらぶら歩いているところにすれ違いざま声をかけられたのである。うさんくさい日本語は怪しさ満点であったが、そのキャラはどこか憎めない。ひまだったこともあって誘われるがまま彼のオフィスについていき、気がつけばツアーを申し込んでいたのである。 おととい、つまりサナアに到着したときにも旅行代理店の男にいきなり声をかけられた。そのときは車をチャーターしてのツアーにはさほど興味がなかったし、初日とあって警戒心と緊張感も高かったことから、旧市街を案内してもらったにもかかわらずその男とはそのまま別れた。が、数日経った今、こうして勢いに任せてツアーに申し込んでしまっている。すべては出会いのタイミングとそのときの気分で決まる。インシャアッラー。そんな偶然の選択や決断で、いつも旅は進んでいく。

さて、そのマーシさんとハーディさんといっしょに最初に向かったのが、ワディダハル。ここには、ロックパレスという、かつてのイマーム(王)の別邸がある。

そのロックパレスのふもとで車を降りる。岩山の上に、白い窓枠が美しい建物が天に向かって延びている。無骨なデコレーションケーキといった様相だ。

ジャンビーアの舞い: 2/15