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目が覚めて窓を開けると、外は雨。あまりにも美しすぎた夕焼けは、この前兆だったのか。しかし、日が高くなれば晴れ間も広がるはずだ。マラケシュやエッサウィラでそうだったように。
隣のパティスリーで朝食をすませると、雨はひとまず降り止んでいた。今日はまず、対岸に広がるサレの街に行ってみることにした。サレはラバトの兄貴分にあたる歴史ある街であるが、とくに17世紀頃から海賊が跋扈したことで有名である。『ロビンソン・クルーソー』(岩波文庫、平井正穂訳)の中で、主人公のロビンソンが航海中、サリーを本拠地とする海賊に襲われ、奴隷としてサリーに連れていかれたという記述があるが、そのサリーがサレだという。現在のサレにはめぼしい見所はないようであるが、グランモスクと、その隣にあるマドラサの屋上からの眺望は素晴らしいという。マドラサに着く頃には、天気も回復し、太陽に照らされたラバトの街並みを一望できるかもしれない。
新市街からラバトのメディナに足を踏み入れると、城壁に沿って川の方向へと歩いた。川を見下ろせる場所にたどり着くと、川岸へと下りる道を探した。対岸のサレには船で渡ろうと思っていた。道を求めて歩いていると、一人の若者とすれ違った。 |
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Rabat: 6/12  |
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