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入場券を買って構内に入る。ガイドブックによれば、規模はローマのコロッセオにほぼ匹敵するという。目の前にそそり立つ三階建ての闘技場は、なるほど確かに巨大であり、ローマを除けば、これまで訪れたどの都市でも見たことがないサイズだった。残念なのは、本家ローマのコロッセオを訪れたのは10年も前のことなので、目の前の闘技場とつぶさに比較するほどの記憶がないことだった。初日、ローマに1泊したときにコロッセオの外見だけでも眺めておけばよかったと後悔した。シチリアを巡ったあとに寄る時間はあるだろうか。
薄暗いゲートをくぐって場内に入る。保存状態は確かによかった。とりわけ床の部分にそれは顕著だ。もちろん修復したのだろう。興味深いのは、階段を下りて地下を見学できること。人気のない地下通路を一人で歩くのはスリリングだ。奥に進むほど闇が濃くなるので、途中で恐くなって引き返してしまった。かつてそうだったように、猛獣が潜んでいるような気がしたのだ。
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