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エルジェムから再びルアージュに乗って30分あまり。地中海に面する町、マハディアのルアージュステーションに着いたのは、ちょうど午後1時を回った頃だった。ルアージュを降りると、真昼の強烈な陽光が容赦なく降り注いぐ。

マハディアを訪れようと思った理由はふたつあった。ひとつは、この地がファーティマ朝の都であり、現在も観光色に染まらずに往時の趣を残していると聞いたこと。もうひとつは、マハディアの海はどこよりも青く美しいと評判であること。どこよりも、という形容は正直おおげさだと思ったものの、少なくとも、チュニジア、あるいは地中海でも有数の美しさを誇る海なのではないだろうか。そんな想像を巡らし、「地中海でいちばん青い海へ」というロマンティックなテーマを勝手に定めて、マハディアを目指すことにしたのだった。

例によって郊外にあるアージュステーションからはタクシーでメディナに向かった。予想外に広くて発達した新市街を通り過ぎると、石造りの見るからに堅牢そうな門が見えた。タクシーはその向かいに止まった。
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