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この要塞のような建物は、ファーティマ朝が滅びたのちにトルコ軍が築いたものであった。
入場料を払って内部に入ってみた。特に見るべきものはなかったので、見晴らしの良さそうな屋上に上った。

圧倒的に豪快で壮大なパノラマに、一瞬で心を奪われてしまった。白い墓石が雑然と並び、灯台が孤独にそそり立つ岬の先端を囲むように、地中海が視野いっぱいに広がっている。水平線が緩やかな弧を描いているのがわかる。

ようやくたどり着いた。これが地中海でいちばん青く美しい海。
真実かどうかはわからないけれど、真実であってもおかしくはない。

チュニジアに来た当初は、モロッコより「薄い」国という印象を抱き、以来、モロッコにはない「チュニジア的なもの」を求めて旅を続けてきた。けれども、タタウィンのクサールを訪ね歩き、聖都ケロアンのメディナをさまよい、そしていま、このディープブルーの海を目の当たりにして、ようやくその欲求が満たされたような気がした。当初覚えた物足りなさは、この透明な空と海の彼方に残らず吸い込まれていくかのようだ。

チュニジアの旅がクライマックスを迎えようとしているのを感じていた。
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