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入口にはお土産屋やバールなどが立ち並んでいる。コンクリート造りのチケット売り場も広くて近代的。観光客も多い。これだけ受け入れ体制が整っているのなら、バスだって充実させろよ、って文句のひとつも言いたくなってくる。
セリヌンテの見所は、大きくふたつにわかれる。東部に並ぶ神殿群と、そこから1キロほど離れた古代アクロポリスだ。帰りのバスが出るのが5時だから、見学時間は3時間。徒歩ではとても回りきれない。迷った末、主要なスポットを車で周ってくれるというエコツアーに参加することにした。
まずは東部の遺跡群へ。ここにはE、F、Gという三つの大神殿がある。ぼくを含め十数人の観光客を乗せた車は、E神殿の前で停車した。ここでいったん散り散りになり、各自三つの神殿を自由に見て回れということらしい。
目の前に建っているE神殿は、女神ヘラを祭ったものとされている。三つの神殿の中では最も新しく、紀元然5世紀中頃、ちょうどセリヌンテの黄金期に建造されたものだ。その数十年後、セリヌンテは北方に進出し、ライバル都市のセジェスタに攻め込んだ。しかし、それがかえって自身の寿命を縮めてしまう結果となる。
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