 |
|
昼寝から覚めると、すでに日は暮れようとしていた。
疲れは残っているが、こんなさえない気分のまま1日が終わってはどうにも納得がいかない。旧市街まで一人で歩いてみることにした。男が案内してくれなかったイエメン門を目指してみよう。
どこをどうやって歩いたのか、薄暗い路地を抜けると、知らない空間に出た。とたんに、喧噪に包まれる。
黒いベールをかぶった女性。ジャンビーアを差した男性。背広や袋を売る男。シャーイを飲む人。取り囲む摩天楼。淡いオレンジ色に染まる空。
広場からは、奥へと道が延びている。露店、商店が隙間なく立ち並んでいる。
たまらず、吸い込まれていく。
これだよ、これ。
ざわめきの波間を漂うこの感覚。
うれしくなって、どんどん奥へと飲み込まれていく。 |
|
Sanaa: 2/22  |
|