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   9.  風のメディナ  ―  ティトゥアン
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メディナを西から東へと横断した僕は、今度は別の道を通って東から西へと横切った。元の門に戻ると、次はいったんメディナを出て、周囲を取り囲む壁づたいに歩いてみることにした。

しばらく進むと、グリーンの窓枠が印象的なヨーロッパ風の建物が見えてきた。

さらに歩くと、大きい広場に出た。やけに立派な建物もそびえている。
いったいここはどこだろう。




カフェに入り、ガイドブックを取り出した。ティトゥアンの地図を見ると、ハッサン2世広場という名前が目に入ってきた。広場の隣には王宮もある。やはりここはティトゥアンだったのだ。ようやく町の中心にたどり着いたというわけだ。

あのときあそこでタクシーを降りなければ、この広場まで連れて行ってくれたのかもしれない。そう考えると、余計なエネルギーを消費したことがちょっぴり悔しくもあった。でも、こうやって迷いながら目的地にたどり着くのも、旅の楽しみのひとつではあるのだ。



広場には、太陽の光が燦々と降り注いでいた。が、思ったほど暑さは感じなかった。広場を吹き抜ける爽やかな風のせいだった。地中海からやってきたのだろうか。白い壁と並んで、この心地よい風も、明日訪れるアンダルシアを感じさせた。

一休みを終えてカフェを出ると、広場の端にある古びた門を目指した。このルアフ門をくぐって、もう一度メディナを彷徨ってみることにした。モロッコの旅も今日で最後。心ゆくまで迷子体験を楽しんでおきたかった。

明日はいよいよヨーロッパに渡る。
かつてイスラム教徒が「アル・アンダルス」と呼んだスペイン南部の地 ――アンダルシアへ。

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