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タクシーはうねうねと続く山道を進んでいく。ガイドブックによれば、テブルスークから遺跡までの距離は6キロ。交通手段がなければ歩いていけばいいや、などと楽観的に考えていたのだが、この炎天下、もしそんな羽目に陥っていたら暑さでのたれ死んでいたかもしれない。
遺跡の入口に到着。運転手によれば、テブルスーク発チュニス行きの最終バスは5時だという。ルアージュはないようだし、そのバスに乗って帰るのが安全だろう。「俺はいったん引き返すけれど、4時半にまた迎えに来るよ。そうすれば最終バスに間に合うさ」と運転手。いまから2時間後か。あまり余裕はないけれど、ひととおり見て回るには十分か。引き返していくタクシーを見送ると、急いで入口へ向かった。チケットを買ってさらに進むと、右手に劇場が見えてきた。
ドゥッガはローマ帝国の支配下で繁栄を謳歌した都市。劇場は、ローマ帝国がその属領地の住民に与えるアメとムチの「アメ」に相当する娯楽施設であるとともに、支配地であることを諸国に知らしめるための烙印、あるいは誇示手段なのかもしれない。 |
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