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ラグーザに到着したのは、午後2時過ぎ。鉄道駅前のバスターミナルから数分歩き、峡谷にかかる橋を渡って新市街に入った。

ラグーザは、新市街と旧市街に分かれている。それだけなら他のイタリアの都市と変わりはないが、特徴的なのは、どちらも高台に築かれていること、二つの地区の間に急激な高低差があることだ。いま歩いている新市街のほうが標高が高く、イブラと呼ばれる旧市街は、新市街より一段低い丘に密集している。この高低と新旧のコントラストが、このラグーザの景観、とくに新市街側から鳥瞰するイブラの孤独なたたずまいを、息を呑むほど劇的で、旅情をかきたてるものにしている。

新市街の一画にあるホテルにチェックインすると、さっそく旧市街のイブラに出かけることにした。ホテルを出ると、目の前の坂道を下る。数百メートル先で左に折れ、細くなった道をさらに進む。やがて、町はずれらしき場所が見えてきた。あそこに違いない。

目の前には、一本の細い坂。その向こうには、古びた町が、緩やかな弧のように奥へと広がっていた。
 
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