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ぐっすり眠った翌朝。バルコニーへ出てみると、気持ちのよい秋空が広がっていた。絶好の散策日和だ。朝食をすませるとすぐにホテルを出た。まずは、カンポ広場を目指す。
昨晩、なんども行ったり来たりした路地を歩く。背の高い建物の隙間から射し込む朝日がいい感じだ。広場に通じる階段を下りる。朝のカンポ広場は、昨夜の希薄で幻想的な雰囲気とはおよそ異なる表情を見せていた。そのたたずまいは、壮麗で劇的であった。
カンポ広場は、この歴史ある町の「へそ」でもある。広場を歩いている間にも、地元の人や観光客が、あちこちの路地から流れ込んでくる。
集まってきた人がまず見上げるのが、マンジャの塔。
とにかく高い。高すぎて、立ったまま見上げていると首が疲れてしまう。みんながやっているように、広場に腰をおろしてぽかんと見上げてみる。広場はマンジャの塔に向かってゆるやかなスロープになっているから、座った方がずっと見やすい。
トスカーナの秋空は、どこまでも深くて青い。
シエナの赤茶の街並みとのコントラストが鮮やかだ。 |
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