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目が覚めて窓を開けると、空は快晴だった。暑くなりそうだ。

今日は、ベルベルの村を訪ねるつもりだった。ベルベルとは、マグレブ地域の先住民に対して、のちにこの地に侵攻してきたアラブ人がつけた総称である。モロッコでは現在も人口の何割かがベルベル系だとされているが、チュニジアではベルベル諸部族のほとんどがアラブ人と同化・融合していった。残された少数のベルベル人は不毛の地に追いやられた。ここタタウィンの周辺には、そうしたベルベル人の住居(跡)や、クサールと呼ばれる穀倉が散在している。そのいくつかを、これから車で訪れようというのだ。

ホテル側が用意してくれた車はずいぶんオンボロだった。面白半分に乗り込んではみたが、こんな車で何もない荒野を走って大丈夫なのか。果たして、その心配はあとで現実のものとなってしまうのだが。ドライバーは陽気で気のいいオッサンなので、道中退屈しそうにない。

数十分ほど走り、最初の目的地であるクサール・ハッタダに到着。ここは映画『スターウォーズ』のロケ地としても有名で、入口にはそのことを示す看板が立てられている。中に入ると、一部の壁だけが白く塗りたくられている。ロケの痕跡なのだろう。また、数年前まではホテルとして使われていたことから、内部にはフロントの跡なども残されている。観光色は強かったが、それ以外の部分は手つかずといった印象で、何列も続くクサールは見応えがあった。
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