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荒野の中を再び何キロか走り、ドゥイレットに到着した。
ここもシェニニと同じような丘上の村だが、違うのは、観光客がまったく見あたらないことだった。丘の中腹まで登り、並んでいるクサールを見て回る。
人が住んでいると聞いていたが、その気配はまったく感じられない。聞こえてくるのは、風を切る音だけ。無人の廃墟と、それを覆う透明な空。一人で歩いていると、恐いような、でもワクワクするような、不思議な気分になった。
クサールを見終えると、眼下に広がる景色に目を向けた。そこにあるのは、ひたすら乾いた大地と丘陵、そして点在する白いモスクだけだ。 |
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