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急に元気づいて早足になった僕は、構内に入ると、一目散にバールへ。水を買っていっきに飲み干した。生き返った気分。
落ち着いたところで、帰りの足の確認。トラーパニのインフォでもらったコピーによると、トラーパニ行きのバスが16時10分にここから出るようだ。あと2時間しかないではないか。ドゥッガのときと同じパターンだ。イヤな予感もするけど。

セジェスタの遺跡は、大きく二つに分かれている。標高約400メートルの丘に広がる中心地区と、やや離れた別の丘にそびえ立つ大神殿だ。中心地区が広がる丘へは送迎バスで登ることができる。体力と時間を浪費してしまった僕は、いちもにもなくバスを利用することにした。

丘の上は廃墟同然だった。背の低い石壁が一面に広がっているばかり。今朝までいたエリチェは生きた町だったけれど、ここは完全に死に絶えた古代の町跡だ。吹きつける風と照りつける太陽にあらゆる情感が押し流され、虚無感だけがあらわになってくる。

修復された石壁の向こうを見下ろしてみた。カラタフィミの無人駅を認めることができた。まるでマッチ箱のようだ。あそこからは見えなかったけれど、やっぱりこの丘に遺跡はあったのだ。円柱の一本でも立っていれば遠くからでも識別できたのだろうが、こんな廃墟ではわかろうはずもなかったのだ。
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