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ふたたび路地をうろうろしているうちに夕方になった。日の落ちる頃、もう一度ノルマン城までやってきた。もちろん、サンセットを眺めるために。

ここからの夕景は予想通り素晴らしかった。眼下には、今朝到着したトラーパニの町と、その近郊に広がる塩田を見渡すことができる。その先には、エガーディ諸島のシルエットがぼんやりと浮かんでいる。崖の上を吹き抜ける強い風に押されながらも、夕日が沈んでいく様子を飽きずに眺め続けた。

夕食を取って夜の町を散歩していると、柔らかい街灯に照らし出された通りの上を、白い空気が音もなく流れていた。夜霧だろうか。期待が一気に高まる。というのも、丘上都市エリチェは霧の町としても有名で、エリチェにわざわざ泊まることにしたのもこの霧を見たかったからだ。旅行前、深い朝霧に包まれた幻想的なエリチェの街並みの写真を見て、ぜひ1泊して中世さながらの雰囲気を味わいたい、そう思ったのだ。この霧の深さなら、明日の朝は期待できるかもしれない。

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