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アラブ人に代わってノルマン人がシチリアを統治するようになったのは11世紀のこと。バイキングの末裔が、なぜ南の果てのシチリアを支配するようになったのだろう。旅行前にシチリアの歴史をかじってみて、まずとまどったのがそれだった。

整理してみよう。もともとノルマン人は、フランス北部沿岸(ノルマンディー地方)に定住していた。が、勇猛さで鳴らす彼らの一部は、南イタリアで覇を争っていた諸侯のもとへ傭兵として赴いた。武勇めざましい彼らは恩賞として領土を授かったが、それだけでは満足せず、自ら領土を拡張していった。そんな彼らの中でも最強となったオートヴィル家が、ついには南イタリアを統一し、さらにはアラブ人の内紛に乗じてシチリアまで征服してしまったというわけだ。

傭兵であった彼らは現実主義者だったので、シチリア統治に当たっては既成のシステムを踏襲し、主な住人だったアラブ人とギリシャ人の既得権を保証した。異文化を排斥することもせず、むしろイスラムおよびビザンティン様式を積極的に採り入れ、ノルマン様式とミックスさせて、独特の文化を創り上げた。その影響が、いま歩いているエリチェの家並みにも顕著に表れているのだ。
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