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オルティージャ島に戻ってきたときには、日暮れがすぐ目の前に迫っていた。すでに地面は影に包まれ、整然と立ち並ぶ建物だけが、夕陽に照らされ、オレンジ色に染まっている。その建物にも、下の方から次第に影が忍び寄っている。これは急がなければ。疲れた足にむち打って、小走りで海岸へ向かう。
昼食を取ったレストランを通り過ぎると、海沿いの歩道を島の先端に向かって進む。
急いでいた足が、ふいに止まった。
高々とそそり立つ三本のマスト。
その間を、夕陽が静かに沈んでいく。
空と海を黄金色に染め上げながら。
地中海の黄金の落日。
これが見たかった。
再び足を動かして、島の先端部へと向かう。
アレトゥーザの泉の前にたどり着いた。 |
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