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旅の初日は、乗り継ぎ地のローマで。テルミニ駅近くのホテルにチェックインすると、すぐにスペイン広場へ。長い階段を一気に上って振り返ると、そこにはワイン色に染まった夕空が。幕開けのシーンとしては上々だ。

日暮れ後は、路地歩きを楽しみながらナボーナ広場へ。夜の賑わいに、旅気分も高まった。

そして翌朝、いよいよチュニジアへと飛び立つ。

昨年のモロッコに続き、今年もまたマグレブの地へ。










空港ビルを出たとたん、ひときわ強い日光が全身に降り注いだ。
不思議なことに、暑さはあまり感じなかった。吹き抜ける涼しい風のせいだ。予想外に蒸し暑かったローマとは、気候に明らかな違いがあった。地中海に近づいた証拠だろう。

タクシーに乗り込んで市内へ。
発車と同時に、アラブポップスが車内に響き渡った。イスラムの国にやってきたことを肌で感じ、ゾクゾクしてくる。

窓の向こうの乾いた景色を眺めながら、男性シンガーの甘ったるい声と独特の節回しに耳を傾けていると、ドライバーが話しかけてきた。最初はフランス語で。次は片言の英語で。そして「アラビア語は話せるかい」と。知っている言葉を2つ3つ口にすると、それなりに喜んでくれた。

それにしても、海ひとつ越えただけで、民族も、言葉も、音楽も、宗教も、景色も、これほどまでに違ってしまうとは。この心地よい驚きこそ、マグレブ&ヨーロッパの旅の大きな醍醐味に違いなかった。だからこそ、昨年に続いてこの両地を股にかけて旅することに決めたのだ。

チュニスの市街へ。目的のホテルは、鉄道駅の近くにある。そのホテルに到着する直前、いきなり料金メーターが跳ね上がった。もしかしてトリック?
「15ディナールだって!」
支払う段になって、驚いたようにその数字をドライバーに確認してみた。
「ああ、このメーターかい。これは関係ないんだ。10でいいよ」
何だそれなら、と素直に10ディナール払って車を降りた。しかし、後でガイドブックで確かめたところ、10ディナールでも相場よりかなり高いことがわかった。やっぱりぼられたのだろうか。それとも、単に相場が上がっただけなのか。どちらにせよ、やられたーという感情を消すことはできなかった。醍醐味も大きいが、スパイスもピリリと効いているのがマグレブの旅なのだ。
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