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急がないと終わってしまうよ、とせかされながら、屋根で覆われた薄暗い道を彼と一緒に歩く。何度か角を曲がり、5分ほどして彼が立ち止まったところは、とある土産物屋の前。
「テラスに上れます」という英語の看板が出ていた。
「ここの屋上だよ、店は5時で閉まってしまうから早く上ろう」
なんだ、さっきモスクで声をかけてきた男と同じ種類の人だったのね・・・。だまされたというわけか。なにがベルベルフェスティバルだ。
「ノン、メルシー」
そっけなく答えると、素早く元の道を引き返した。彼はなおも後を追ってきたが、別の獲物＝観光客を見つけたらしく、いつの間にか姿が見えなくなっていた。
もちろん、だまされて気分が良いわけはない。しかし、テラスからモスクを見渡せる土産物屋の場所がわかったのはラッキーだった。迷路のようなメディナの中から探し出す手間が省けたというわけだ。明日、ここに直接一人で来てみよう。 |
