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土産物屋を出た僕は、昨日入れなかったグランドモスクに行ってみることにした。チケットを買って中に入った。けれども、歩き回れる範囲が限られていて、肝心の中庭と回廊を見て回ることができない。おまけに、空もさっきよりどんよりしている。先ほどテラスから眺めたミナレットも、ますます見栄えがしなくなっている。晴れていれば感動したに違いないのに、この姿では何とも。
結局、5分ほどでモスクを出てしまったは僕は、メディナをあてどなく歩いてみることにした。この散策は楽しい体験だった。歩き回るのにちょうどよい規模だし、土産物屋の呼び込みもしつこくない。気楽にうろつけるところがいい。確かにそれは大きな魅力だった。けれども、昨年、モロッコのマラケシュやフェズで熱に浮かされるようなメディナ体験をした後となっては、このチュニスのメディナにどこか物足りなさを覚えてしまうのも否めなかった。
正直、もう少し刺激が欲しかった。しかし、同じマグレブの国とはいえ、モロッコ的な刺激をこのチュニジアで求めても徒労に終わるに違いない。チュニジアにはチュニジアなりの、まったく違う何かがあるはず。その何かを見つけなければ。とはいえ、まだ旅は始まったばかり。明日から訪れる場所できっとそれは見つかるはず。ひょっとしたら、これから向かうシディ・ブ・サイドにそれはあるかもしれない。青い海、空、ドア…。あそこになら新しい何かがありそうだ。 |