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宿をチェックアウトすると、足早にパレルモ駅に向かった。列車の出発まで時間があまりない。駅に到着すると、バールでコルネットを買い込む間もなく、そのままアグリジェント行きの列車に乗り込んだ。列車はほぼ定時に出発した。シチリアの列車の運行は、思っていたよりもずっと正確だ。

北部沿岸地帯を離れ、内陸部に入り込んだ。シチリア島を分断するように、南海岸へと下っていく。乾いた土と岩山に支配された、荒々しく起伏に富んだ風景は、見ていて退屈することがない。車窓を流れていく景色をぼんやり眺めているうちに2時間が過ぎ、列車は終点のアグリジェント駅に到着した。

ホームから階段を上り、駅を出た。強烈な日射しが肌に突き刺さる。雲ひとつない晴天。パレルモは曇りの日が続き、憂鬱な気分に陥りかけていただけに、この抜けるような青空はうれしい。

駅を含むアグリジェントの街全体は丘の上に乗っかっているので、見晴らしがよい。駅の向こうは崖になっていて、その下には荒野が広がっている。きっとあそこが「神殿の谷」なのだろう。さらに彼方には、青い地中海がどこまでも広がっている。

駅の脇に広がる旧市街を10分ほど歩くと、目星をつけてあったホテルを見つけることができた。首尾よく部屋を確保できたので、荷をほどくと、さっそく旧市街から探索を開始することにした。


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