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翌朝は、見事な晴れ。早起きして宿を出た。眺望が素晴らしいという市民公園に向かう。
園内に入り、しばらく歩いていくと、糸杉の並木の隙間から、真っ青な海と、巨大な離れ笠をかぶったエトナ山が目に飛び込んできた。
「見渡せばエトナ山脈の山背は全部視界におさまり、左方にはカタニア、否シラクサまでも伸びている海岸線が見え、この広大渺茫たる一幅の絵の尽きるところに、煙を吐くエトナの巨姿が見えるが、穏和な大気がこの山を実際よりも遠くかつ和らげて見せるので、その姿は決して恐ろしくはない」
ゲーテがそう言い表した風景が、目の前にそのまま広がっていた。
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