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   5.  迷宮都市  ―  フェス
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タンネリ見学を終え、サファリン広場まで戻った僕は、フェス川を渡るために別の道を下ることにした。

フェスの町は、フェス川を挟んでアンダルス地区とカラウィン地区に分かれている。これまで歩いてきたところはすべてカラウィン地区内だった。そして、これから向かうのがアンダルス地区だ。アンダルスとは、イベリア半島におけるイスラム勢力の支配地域を表し、アンダルシアの語源となった言葉だ。そのアンダルスからの移住者が多かったことから、この地区をそう呼ぶようになったという。モロッコのあとにアンダルシア地方をたずねるつもりなので、この地区の雰囲気を一度味わっておきたかった。

観光名所と呼べるものはほとんどない。路地沿いの店にも、いわゆる土産物はまったく置かれていない。安い衣料品や日用雑貨がほとんどだ。カラウィン地区よりずっと庶民的な雰囲気が漂っていて、生活の臭いがより強く漂っている。印象的なのが、壁の白さだ。明らかにアンダルシア地方に通じるものがある。


アンダルス地区をしばらく歩き回り、昼食を取るためにカラウィン地区に戻った。

今日の昼食は、ちょっと豪華に行くことにした。
メディナの中には古い邸宅を改装したレストランが何軒かあり、そのうちの一軒に入ってみることにした。

「DAR JAMAI」というレストランに入った。入口は普通の民家のように何の変哲もなかったが、通された部屋はとても豪華で趣があった。吹き抜けになっていて、天井は高く、壁の所々に彫刻が施され、装飾用のカーペットが掛けられていた。モロッコの建物は中庭(パティオ)形式になっている。とすると、この部屋は「天井のある中庭」と考えていいのだろうか。

温野菜、クスクス、デザートというコースはボリューム満点。お腹一杯になった。とりわけ、小皿に取り分けられた温野菜がおいしい。

フェスでは路上観察が面白いが、それとは対照的に、建物の内部を見学するチャンスが意外と少ない。少々お金を払ってでもこういう邸宅で内装を鑑賞しながら食事を楽しむ価値は十分にある。


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