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タンネリ見学を終え、サファリン広場まで戻った僕は、フェス川を渡るために別の道を下ることにした。
フェスの町は、フェス川を挟んでアンダルス地区とカラウィン地区に分かれている。これまで歩いてきたところはすべてカラウィン地区内だった。そして、これから向かうのがアンダルス地区だ。アンダルスとは、イベリア半島におけるイスラム勢力の支配地域を表し、アンダルシアの語源となった言葉だ。そのアンダルスからの移住者が多かったことから、この地区をそう呼ぶようになったという。モロッコのあとにアンダルシア地方をたずねるつもりなので、この地区の雰囲気を一度味わっておきたかった。
観光名所と呼べるものはほとんどない。路地沿いの店にも、いわゆる土産物はまったく置かれていない。安い衣料品や日用雑貨がほとんどだ。カラウィン地区よりずっと庶民的な雰囲気が漂っていて、生活の臭いがより強く漂っている。印象的なのが、壁の白さだ。明らかにアンダルシア地方に通じるものがある。 |