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   5.  迷宮都市  ―  フェス
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翌朝、再びタクシーでメディナに向かった僕は、昨日と同じようにブー・ジュルード門をくぐった。

この門からは、ケビーラとセギーラという2本の通りがメディナの中心部に向かって延びている。昨日は右のセギーラ通りを歩いたので、今日は左のケビーラ通りを進むことにした。

平行に延びる2本の道は、やがてメディナの中心部付近で交わることになる。そのT字路の近くから、薄暗い小道が延びている。その小道の先にあるのが、ネジャーリン広場だ。広場に面してフォンドゥク(隊商宿)が建っている。その内部を見学した僕は、さらにメディナの奥へと進んだ。ここから先はいっそう路地がゴチャゴチャと入り組んでいそうだ。

頭上に渡してある横棒をくぐり抜け、薄暗い道を進むと、ムーレイイドリース廟に出た。モロッコ初のイスラム王朝を興したイドリースの息子、イドリース二世の廟だ。

ボリュビリスでイスラム王朝を開いたイドリースは、フェスを新都に定めた。その新都を完成させたのが、この廟に眠っているイドリース2世だ。イドリース朝はその後まもなく滅びるが、フェスは以後現在まで1000年にわたって、政治、文化、経済の中心地として栄えることになる。

この廟は異教徒は入場禁止なので、入口からちらりと内部をのぞいただけだった。





さらに、カラウィンモスクを目指して進む。しかし、いつの間にか道に迷ってしまったらしい。同じ道を行ったり来たり、不思議な感覚に陥る。おかしい、モスクはすぐそばにあるはずなのだが。

なおもしばらく歩き回っていると、まったく不意に、カラウィンモスクの門の前に出た。周囲を見渡すと、さっき何度も通り過ぎた一画だ。ようやく合点がいった。さっきまではモスクの門が閉まっていたので、モスクの存在に気がつかずに通り過ぎてしまっていたのだ。迷路の中心に位置するこのモスクは、とびらが閉じられていると外側からはその存在を消してしまうのだ。

北アフリカ最大規模のモスクであることや、中庭がアルハンブラ宮殿のものに似ていることなどから、ぜひ内部を見学してみたかったのだが、モロッコの他のモスクと同様、このモスクも異教徒は立ち入り禁止。門の外から指をくわえて内部をのぞき見るしかなかった。


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