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翌朝、起きてみると、体調はいくらか回復したようだ。
砂漠ツアーは夕方出発だ。その間、ちょっとだけメルズーガの村を散歩してみることにした。
メルズーガを歩いてまず目を引くのが、家々のドアと窓だ。赤、黄、青、どれもみな原色に塗り上げられ、独特の幾何学模様が施されている。日干しレンガの塗り壁が地味な単色なだけに、その配色とデザインの妙がいっそう引き立っている。初体験とも言える強烈な照射の中で、その原色光景は目と脳を幻惑し、どこか遠い世界へと連れ去っていく。実際、ここは日の沈む国マグレブの砂漠。日本からは遙か離れた彼の地なのだ。 |