その色と光と模様が織りなす光景に、しばし立ちつくす。実際、動きたくもなかった。あそこまで登ってこいなんていとも簡単に告げられたけれど、体調不良の僕には、その頂上が果てしなく遠く感じられた。
周りを見渡してみた。あそこ以外に、地平線に沈む太陽を眺められる場所はなさそうだった。
覚悟を決めた僕は、稜線に沿って登り始めた。
後悔はすぐにやってきた。砂丘は、見た目より急なのだ。そのうえ、サラサラの砂に足がめり込む。思うように進まない。
懸命に登っているつもりなのだが、頂上はいっこうに近づいてこない。どうしてなんだ。
すでに汗びっしょり、息はゼーゼー。もう限界だ。
ふと見上げると、夕陽は丘の向こうに消え去ろうとしていた。
力尽きた僕は、丘の中腹にドカッと腰を下ろして、沈み行く太陽を茫然と見送った。さようなら……。
このリベンジは、明日の朝果たすしかない。
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