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   4.  砂漠の一夜  ―  メルズーガ
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砂漠の夜は、思っていたほど寒くはなかった。夕食のタジンを食べ終えた僕は、テントの中ではなく砂漠の上に寝ることを選んだ。毛布をかけると暑苦しいくらいだった。

期待していた星空はといえば、薄雲がかかっているため鮮明には見えなかった。晴れるのを待っていたが、疲れ切っていたせいか、いつしか深い眠りに引きずり込まれていった。

夜中、ふと目を覚ました。雲はいつの間にか消え、目の前には満天の星空があった。手をかざしてみた。星明かりで手のひらがボーっと浮かんで見えた。綿飴のような天の川が、天頂を横切るように流れていた。微細な濃淡まではっきりとわかった。スターウォッチングは昔から好きだったが、こんなに鮮やかな天の川を見たのは、これが初めてかもしれない。眠気も忘れて、満点の星空に見入った。

少々冷え込んできたようだ。砂混じりの風も強くなってきた。シーツを頭までかぶると、再び眠りについた。

次に目を覚ましたときには、すでに星は消えていた。夜明けだ。すぐに起きあがると、カメラと三脚を持ち、砂丘へと急ぐ。中腹まで登ると、サンライズを待った。

5時半前。幾重もの砂の弧の向こうから、朝陽が静かに顔を出した。