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集落をひととおり見て回り、宿に戻った。まだ無理は禁物だ。昼寝をして体調の回復に努めたのち、シャワーを浴び、デイパックに必要な荷物を詰め込む。これで準備はOK。
日差しも若干和らいできた4時過ぎ、いよいよ砂漠に向けて出発。
ホテルの前には、愛らしいラクダがひざまずいていた。ラクダに乗るのは初めてだ。慎重にまたがると、うめくような声を発した。
ごめんよー。重たいけど、明日の朝まで我慢してね。
砂漠ツアーといっても、今日の参加者は僕一人だけ。愛嬌のあるラクダとベルベル人のガイドが頼りだ。
ちっぽけな村を出て、石混じりの浅い砂地をしばらく進むと、ついに本格的なサラサラの砂漠の中に突入した。
行く手には、砂と空だけ、オレンジと青だけの世界。
モロッコという国は、この2つの色に支配されているのだ。マラケシュのメディナもそうだったし、ワルザザートのカスバもそうだった。そしてその支配の中心にある場所が、この砂漠なのだろう。
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