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リッサニで無事オーナーと落ち合うと、グランタクシーでメルズーガへと向かった。
リッサニからメルズーガへの道は予想外に整備が進んでいて快適だ。舗装されたのはつい最近のことらしかった。エルフードではなくリッサニで僕を拾ってくれたのも、きっとこの新しい舗装道が開通したからなのだろう。
メルズーガは、まさしく荒野の真ん中にポッカリと浮かぶ小さな村、というより集落だった。その集落の中心部に、僕が泊まるオーベルジュ(宿屋)はあった。 |
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集落の目と鼻の先には、サラサラの砂漠が広がっていた。ついに、ここまでたどり着いたのだ。数分も歩けば、待ち望んでいたようにあのオレンジの砂をこの手につかむことができる……。
だが悔しいことに、あそこまで歩く元気などまったく残っていない。宿の屋根から、物欲しげにオレンジ色の砂漠を眺め続けるほかなかった。
明日こそは、あのサラサラの砂漠を踏みしめてやるのだ。あの砂の上に寝そべって、満天の星空を眺めてやるのだ。 |
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